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事業に関するQ&A


 繁殖・提供事業の進め方について



     ⇒ 繁殖施設でどのように飼育、繁殖、育成されているのですか


     ⇒ 提供はどのように実施されているのですか


     ⇒ 疾病対策はどうなっているのですか


     ⇒ 提供価格(手数料)はどのように決められているのですか



繁殖施設でどのように飼育、繁殖、育成されているのですか

 京都大学ヒト行動進化研究センターの施設において繁殖・育成を行っています。

 京都大学ヒト行動進化研究センター(第2キャンパス)では、屋外の広い放飼場において繁殖を行っています。サルの群れが環境(植生、土壌など)に与える負荷を継続的に調査した成果を元に、自然に近い環境を維持しながら、定期的な健康チェックも実施できるよう、さまざまな工夫の施された放飼場で、安定した繁殖群を確立させつつあります。さらにグループケージ内で雄1頭、複数の雌からなる単雄複雌群という、外国の繁殖施設などでもよく行なわれている形での飼育形態をとっているエリアもあります。ここでもサルの飼育密度が過剰にならぬよう、十分なスペースを確保した形での飼育が行なわれます。

 生まれたコザルたちは離乳検査の後、育成用のケージに移され、グループで育成されます。

 これらの施設では飼育環境、形式が繁殖効率に与える影響、健康管理、環境エンリッチメントの効果などについてもデータを蓄積し、サルをより適切な環境で持続的に繁殖させていく技術を確立すると共に、育成個体それぞれについて家系、成長過程の健康管理記録、検査結果など個体データを保存しています。

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提供はどのように実施されているのですか

→今年度の提供事業についてはこちら

→これまでの提供実績はこちら

 繁殖施設で育成されたサルは最終的には研究者に提供されることになります。提供は、下記のプロセスを経て決定されます。

 公募(現在年2回実施)に際し、サルの提供を受けたい研究者は申請書をナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」運営委員会宛に提出します。

 申請書には研究計画(研究の目的、研究の方法)の詳細を明記するとともに、その研究計画が所属機関の動物実験委員会などの審査を経て、機関長の承認を受けていることの証明、サルを飼育するケージの大きさのような飼育施設環境、獣医師などによるケアの体制、サルを用いた研究の経験、さらにどのような研究費によって研究がサポートされているのかなどを記入することになります。

 また、申請に先立ち、研究責任者(申請者)及び共同研究者、実験実施者など、研究計画の中で生きたサルと接することになる者は必ず、本プロジェクトの開催するサルの取扱に関する事前講習会を受講することが求められています。



 提出された申請書は、ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」運営委員会から、提供に関する審査を付託された提供検討委員会に送られます。提供検討委員会では、申請者の資格、研究計画、申請者の所属する機関がニホンザルを用いた研究を適正に行うのに適切な体制と設備を準備しているかについて審査し、その結果を運営委員会に報告します。これを受けて運営委員会が、申請の採否を決定します。

 審査の結果、不備がある場合には、単に申請を受け付けないだけでなく、積極的に不備の改善を指示します。



 このようなプロセスを経て、育成されたサルは、採択された申請書の研究者に提供されます。研究者が所属する機関は提供を受けるにあたり、「ニホンザルの飼養保管及び使用に関する指針」の遵守、申請した計画以外へサルを用いることの禁止、提供されたサルの飼養状況についての追跡調査への協力や成果報告に同意するMTAを提供機関と締結しなければなりません。

 このようにして提供されたサルが適切な環境で飼育され、適切な目的に用いられているのかを責任を持ってチェックする体制が作られています。

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疾病対策はどうなっているのですか

 提供先が決定したサルは、繁殖施設から検疫施設へと移されます。そこで基本検査(必須)、各提供先機関が希望する追加検査を受けた後で、それぞれの提供先へ移送されます。



 2010年「ニホンザル血小板減少症」の発生が報告された際には、提供事業の進行をいったん停止し、各機関の専門家に依頼して、原因ウイルス(SRV4型、5型)の特定、リスク評価、検査手順の検討を行い、一般向けの記者会見の他にも、研究者、受け入れ施設担当者を対象に説明と意見交換の機会を持ったうえで提供再開を決定しました。さらに、繁殖施設で飼育中の個体全頭検査を実施し、感染の疑いのある個体の隔離を速やかに行い、繁殖・育成群のクリーン化にも着手しました。

 また、今後の疾病対策について討議するため、各分野の専門家に委員を委嘱した疾病検討委員会が運営委員会の下に設置されており、疾病対策に関する情報をまとめた冊子「ニホンザルの感染症について」を編纂し、提供先に配布しています。

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提供価格(手数料)はどのように決められているのですか

 2010年度からナショナルバイオリソースプロジェクトでは提供手数料の徴収を開始しました。
これはバイオリソース(繁殖コロニー)の維持管理にかかる費用はプロジェクト予算で負担、提供されるリソース(生体、試料など)の品質管理、出荷に関わる業務経費の実費相当額を受益者であるユーザー(研究者)が負担する、という制度であり、リソースの対価を受け取るものではありません。
提供に伴いリソースの所有権が販売、譲渡されるわけではなく、ユーザーには運営委員会で承認を受けた研究課題に用いることができる「使用権」が提供されていることになります。

 提供先の所在地、希望により、輸送経路や検査項目数などに違いがでるため、提供手数料は年度、提供先によって変動する可能性があります。

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